アーカイブ | 8月 2017

柳井の金魚ちょうちん

毎年7月になると、「柳井の金魚ちょうちん」を棚の奥から取り出して玄関に飾ります。私のささやかな夏の楽しみ。網戸から入るそよ風に、金魚の親子がゆらゆらと揺れています。天井に吊るした青いガラスのランプシェードがまるで金魚鉢のように見えるでしょう?10年以上前に、山口県在住の知人から頂いた県の特産品ですが、箱を開けた瞬間に一目惚れ。早く飾ってみたいとワクワクしました。色といい、形といい、なんと可愛らしくて生き生きとした造形でしょうか。曲げた竹ひごに紅白に染め分けた和紙を張って、お目々は墨で黒々とパッチリと描かれています。

柳井は山口県の広島寄りに位置する港町です。先日、柳井港からフェリーで愛媛に渡る旅行をしたことはここで書きましたよね。フェリーの客室の天井に古ぼけたちょうちんがたくさん下がっていました。「そうだ。親しい人へのお土産に買って帰ろう」と、帰りに柳井市内の郷土民芸品店を探したのですが、もう日も暮れる頃なので産物店は締まっています。市内のどこにも下がっていにないのです。柳井市商工会議所に電話をして、まだ空いているお店を教えてもらい、やっとのことで棚の上に一個だけ残っていたちょうちんを売ってもらいました。金魚ちょうちんは廃れたのかな~と心配していたのですが、どこかに山ほど隠し持っていたのですね。

お盆が近づく頃、柳井市では金魚ちょうちんまつりが盛大に開かれます。浴衣を着た子供たちが、これでもかというくらいの金魚ちょうちんの下で可愛く踊っているニュースをTVでやっていました。私たちが行った5月ごろは、祭りのためにちょうちんを販売していけないというお触れが出ていたのかもしれません。

百道浜(ももちはま)は、サザエさん発案の地

福岡空港から姪浜まで東西に走る市営地下鉄空港線。西新駅で降り、フレッシュネスバーガーの角を右折すると、そこから海の方向へ延びる通りが通称「サザエさん通り」です。ここは、修猷館高校・西南学院大学・高校・中学と西新小学校が立ち並ぶ学園通りでもあります。サザエさん通りの突き当りは、地下鉄と並行に室見川まで走る「よかとピア通り」です。その向うは埋立地の百道浜地域。25年前に造成された埋立地は、著名建築家のデザインによる高層マンション群、福岡タワーや博物館、ヤフードームやテレビ局など立派な建物が威風堂々と立ち並び、緑の並木を海風が吹き渡る近代的な洒落た街。でもその昔は、「よかとピア通り」が白砂青松の海岸線だったのです。60年前の夏、団塊世代の子供たちがまるで銭湯のように押し合いへし合いして泳いでいたものです。

この海岸で長谷川町子さんが「サザエさん」の登場人物の名前を思いついたということで、「サザエさん通り」と名付けられました。百道浜っ子だった私たち、よかトピア通りの向うに見えるBONREPASのあたりで泳いでいたんです。

漫画「サザエさん」は、福岡の地方紙、夕刊フクニチの連載から始まりました。石碑に当時のことを描いたマンガの一コマが貼りつけてあります。町子さん一家は、この海沿いの家に暮らしていました。病み上がりの妹さんに付き添って海岸を散歩しながら、登場人物を海産物の名前にしようと思いついたのだそうです。でも、あの当時、百道浜ではサザエは採れませんでした。あさりやマテ貝は採れましたけど。カツオも博多湾では釣れません。でも、磯野波平・フネ夫妻、長女サザエ、お婿さんのフグ田マスオ、カツオにワカメ・・楽観的な日本の庶民の代表的一家として、町子さんの想像の中から生まれて、今も生き生きと、日本のどこかで暮らしているようですね。私の小学生の頃、後ろは刈り上げで前はおかっぱの「ワカメちゃんカット」が流行っていましたっけ。

西南学院大学に今年新しい立派な図書館が完成しました。その図書館の前に、サザエさんと作者長谷川町子さんのブロンズ像が建っているんですよ。サザエさんが町子さんに内緒話をしている様子が面白いですね。

サザエさん通りの入り口にある修猷館高校。秀才揃いの県立進学校ですが、校風は自由。ジイジ氏の母校と伺っていますので、写真を写してきました。古い建物は取り壊されて、すべて鉄筋の新校舎に様変わり。レンガ造りの古い校門は一部ひっそりと残っています。最近は修猷館高校も女子生徒が増えました。☆の校章がついたセーラー服はそのままですが、スカート丈を超ミニにしてメイクをし、イチゴシェイク片手に彼氏と歩いています。学園通りは、今風にお洒落な雰囲気になりました。

 

『がっかり』しない観光名所。札幌の時計台

ここ数か月、持病の糖尿病が良くありません。それでも猛暑酷暑の7月下旬、北海道まで観光旅行に出かけました。この体調不良の中、ヘロヘロしながら観光旅行?と自分でも思ったのですが、まあ、ずっと前から予定していましたからね。行くしかなかったのですよ。北海道、初めてですし。

福岡空港から新千歳空港まで2時間半。新千歳空港からJRで札幌駅まで20分。駅で昼食をすませ、北大のそばの静かなホテルの部屋に納まったのは、家を出てから6時間後。割に早く着くもんですね。九州から北海道まで。気温は18度、札幌市街の碁盤状の道路には涼しい風が吹き抜けているのですが、エネルギッシュな中国人観光客が溢れていて熱気むんむんです。聴こえる会話の8割は中国語。ばっちりバレリーナ風ポーズを決めての記念撮影に驚いて見とれる私。

ホテルの洗面台で顔を洗おうとしたら、水が冷たくて良い気持です。駅の中のカフェで食べたソフトクリームの何と言うおいしさ!新鮮な生クリームのコクと滑らかさがたまりません。インスリン注射を追加打ちしてでも食べたい、禁断のおいしさです。3日の滞在で4個食べました。あ~、北海道のソフトクリームの罪深き美味の虜に。ブルーベリーに似た「ハスカップ」のジャムを載せるとまた違った可愛らしい味わいになります。

下の写真は、「日本三大がっかり名所」のひとつと言われる札幌の時計台ですが、「あら、素敵!どこが、がっかり?」というのが私の感想。明治の洋館風な建物が大好きですし、都会のビル群の中に、夏木立に囲まれた白いペンキ塗りの建物が爽やかです。この建物は、札幌農学校の演舞場だったとか。

旧北海道庁舎。赤レンガの美しい建物と庭。周りは観光客でいっぱいなのですが、たまたま誰もいない空白の瞬間があり、絵葉書みたいに静かな写真が撮れました。館内に入り、ガイドボランティアさんから、ゆっくり北海道の歴史を解説してもらいました。クラーク博士が、弟子たちと別れる場面を描いた油彩の絵の前で初めて知った事実。それは、クラーク博士が9か月しか札幌農学校にいなかったことです。でも、「青年よ、大志を抱け」という言葉は、日本では永遠に残りそう。

小樽の運河は、私的には「がっかり度」最高でしたね~。この日は、急に気温が上昇して32度。北国とは思えない、じりじりとした暑さ。途絶えることなく押し寄せ、観光スポットの前で写真を撮り合う観光客の波、波。客引き。暑さと人混みと、典型的な観光地特有の雰囲気に当たってしまい、早々に札幌に戻りました。