アーカイブ | 8月 2019

ネットショップ で手に入る「呪いの藁人形セット」

ネットショップで何でも手に入る時代ですが、これは又、ビックリ商品。「藁人形セット」です。国産藁(!)で作った藁人形。呪いの五寸釘。それを打ち込むための小石。ケガをしないように軍手もついて、三千数百円。Amazonで販売されていました。原価に比べて、とんでもなく高いのに、買う人がいるのですかね。多分、若い女性が、ドロ沼の不倫関係に悩んでいる友人に、ジョークで贈ったりするものなのでしょう。

江戸時代に流行った恨み釘の儀式。丑三つ時に、女性がたった一人で白装束をまとい、頭には白鉢巻か、鼎を逆さに被り、櫛を口に咥えて神社の裏手に参るのだそうです。鬼気迫る出で立ちですよね。人に見られてはならず、話しかけられても返事をしてはならず、コッソリと闇に紛れてやって来て、御神木に藁人形を五寸釘で打ち付けるのだそうです。それを7夜。呪いの言葉を胸の裡で念じながら。姑に虐め抜かれている嫁とか、夫の別宅に赤ん坊がうまれた不妊の妻とか、怨みつらみを抱えながら、昼間は日常の顔をして生きている女たち。このまま死んだら、幽霊になるかもしれないというほどの深い怒りや妬みや悲しみの塊を抱えて八方塞がり。そこで、恨めしい相手を藁人形に見立て、病気やケガを負ってほしい部分に、五寸釘を打ち込むのだとか。京都の清水寺の隣の神社には、五寸釘の穴がたくさんある神木が祀られているとのことです。神木といえば老木です。痛ましい自然破壊はいけません。でも、江戸時代の身分差別や女性差別は、不満を口に出すと、家を追い出されたり、斬り捨てられたりする恐れがあります。夜陰に紛れて、相手の不幸を念じながら、コッソリ恨み釘を打ち付ける儀式。見ているのは神サマだけです。痛いのは御神木のみ。神仏ならば、許してくれるでしょう。その昔の、ウップン晴らしの卓越した方法だったと思います。

最近、私、朝起きると指が痛いのですが、誰か藁人形の先っぽに釘打ってない?

(上の写真は、ネットショップのものを借用しました)

梅漬けの土用干し

梅雨が明けました。あまりの強い陽射しに、外出もためらわれる今年の夏ですが、家で出来る仕事、土用干しを始めました。わが家は、柔らかい肉厚の完熟梅が好み。黄色く熟して「おてもやん」のようにほっぺがポッと紅くなった大きな南高梅を、大事に大事に下拵えをして、分量の塩にまぶします。重石をかけて、たっぷりと梅酢が上がった梅漬けを、三日三晩、天日と夜露に晒します。梅干し作りの仕上げです。

今年は、息子が梅のヘタ取りなどの下ごしらえを担当したので思い入れがあるらしく、日曜日の今朝、梅酢から梅を取り出して丁寧にザルに並べました。折悪しく、明日あたり台風8号が九州に接近するという予報です。雨風に当てると大変なことになります。気をつけなければ。

毎年、ラッキョウと梅干しは手づくりしています。梅干しは割合上手くいきますが、ラッキョウ漬けが、例年どーもイマイチなのですね。かりかりと歯触りは良いのですが、甘酢が酸っぱ過ぎたり、塩気がキツ過ぎたり。ならばいっそ、と、市販のラッキョウ酢を使ってみたらこれが何とも甘ったるい。漬物の塩梅は難しいものです。