アーカイブ | 4月 2020

楽だった胃がん内視鏡治療

早期胃がんで、4月21日に内視鏡手術を受けた夫は、おかげさまで順調に回復しています。治療当日と翌日は絶食で点滴。その後は、お粥で様子を見て、今日は朝から常食です。痛みは無いようですし、お腹も空くようですし、内視鏡手術は心身への負担が最小限の治療です。3年前の前立腺がんは、手術ではなく放射線治療でした。夏の暑い盛りに30数回の放射線照射に通うのは結構大変だったと思います。今でも時々、頻尿や血尿などの後遺症もありますし。「お天気が良いので、病院の庭を散歩している」と、夫からのんびりした声で電話がありました。大変な治療をしている人が多い中で、申し訳ないほど楽な治療だったとのこと。

九州がんセンターの庭は手入れが良くて、この季節、花咲き乱れ、とても綺麗です。珍しい品種が植えられた桜並木は、例年、地域の方々に公開されるのですが、今春はコロナで中止。私たち患者団体(がん・バッテン・元気隊)も、毎年九州がんセンターでのお花見を楽しんで来たのですが、今年は、週に一度開催しているがんサロンもお花見も団体活動も、何もかも休止です。

夫の今回の罹患や入院治療を通して、患者団体の責任者としても、妻としても学ぶことがたくさんありました。患者さんの意思決定をサポートするのが大事だと日頃言っている割には、イヤイヤこうした方がいいよ、と自分の意見を押し付けています。医療者の質問に、本人を押しのけて私が答えようとします。助かることもあるけど、煩くて困ることも多い、自分のことは自分で決めたい。そう夫に言われてしまいました。前立腺がんの時も同じこと言われたのに…と学習しない自分に反省しきりです。

昨年の花壇

コロナ渦中のがん治療

ツレが胃がんで内視鏡手術

今年に入って、時々「胃が痛い」と胃薬を飲んでいた連れ合い。3月5日に内視鏡検査を受けたら潰瘍があるとのことで生検をしました。20日後、結果を聞きに行ったら、悪性腫瘍の細胞が見つかったとのこと。潰瘍とがんが併発しているので痛みが出て検査を受ける気になったのが良かったです。2年前に胃がん検診を受けた時には異常なしでした。早期がんと思われるので内視鏡手術ができるのではないかと、検査をしてくださった消化器内科医師は言います。

九州がんセンターに紹介状を書いて貰い、外来で詳しく検査をしました。治療を前提とした検査は、がん細胞の性質(顔つきの良し悪し)、拡がり具合〜浸潤、リンパ節や他臓器への転移があるかなど〜の他に、治療に耐え得る体力があるかの見極めも大事です。CT、MRI、エコー、血液検査、心肺機能、そして鎮静剤を使っての改めての内視鏡検査。

結果は、胃角部の、潰瘍を伴った1センチ強の中分化腺がん。内視鏡手術適応の早期がんです。リンパ節転移もなし。4月に77歳になった連れ合いは、3年前にやはりがんセンターで前立腺がんの放射線治療を受けていて、これが2度目のがん治療です。他にも、糖尿病やシェーグレン症候群といった難治性の慢性疾患も抱えているので、本人も家族も、負担の少ない内視鏡治療ができてありがたい!と、不幸中の幸いを喜びました。部屋が空いていたので4月20日に入院します。先延ばしにすると、折角の内視鏡手術が出来なくなる心配があります。がんですから進行します。

内視鏡専門医から、手術の説明をうけました。正式の術式名は「内視鏡的胃粘膜下層剥離術」(ESD)。粘膜下層にヒアルロン酸を注入しがんを持ち上げ、一括でえぐり取る、という方法です。技術的にはかなり難しい手術のようですが、術後の患者の回復は、腹腔鏡や開腹に早く、胃切除に比べるとその後の食生活にも影響が少なく、高齢患者と家族としては本当に助かります。感じの良いテキパキしたドクターで連れ合いは安心してお任せする気持ちです。

コロナ感染拡大を防ぐために、検査などの外来付き添いも家族は1名のみ。玄関に関所があり、体調の自己申請と検温。入院治療になれば病棟には患者だけしか入れません。1週間ほどの入院期間ですので、玄関までは息子が送り、退院まで1人で頑張って貰いましょう。がんセンターの病棟には、抗がん剤治療や術後の免疫低下した患者ばかりがいます。そこに外からウィルスを持ち込むと本当に壊滅的な事態になります。スタッフがひとりでも感染すると、その後、新規の患者受け入れは難しくなるでしょう。たとえ術中に問題が起こったとしても、私は行きません。電話で経過を教えて貰い、後は、医療者に任せます。ただ、それも早期がんの患者家族の余裕なのかもしれませんけど。

福岡県では、コロナ感染者が急増しています。皆さま、どうぞくれぐれもお大事に。戦後生まれですけど、戦時中の空襲警報下の生活はかくや、といった様相ですね。